大江健三郎 作家自身を語る』を読む。
読みながら、学生時代に一所懸命大江さんの本を読んだ頃のことを思い出した。そしてなぜあんなに魅了されたのかもじわじわと思い出した。大江さんの語り口は、なんだか人を励ます力があるのだ。大江さんの言葉で言うと「謹直なユーモア」に。
巻末に「大江健三郎、106の質問に立ち向かう」というのがあり、質問がなかなか面白い。
「小説家と学歴は関係ありますか。」
安部公房さんと一時絶交されたというのは本当ですか。」
「デモ行進をたびたびお書きですが、実効性はどのくらいあるとお考えですか。」
「作家の自殺はアリでしょうか。または許されないものでしょうか。」
芥川賞候補になった村上春樹さんの『風の歌を聴け』を評価されなかったのはなぜでしょう。」等々。
答えももちろん、面白い。
「決まって受け持たれている家事は何か。」という問いに、
「(略)深夜、トイレに立つ光をベッドを直して待ちうけ、毛布でくるむこと(四十年、家にいれば毎夜やっています)。」という答えがとても印象的だった。
「毛布でくるむこと」という言葉の温かさ。

大江健三郎 作家自身を語る

大江健三郎 作家自身を語る

そうそう。若くして小説家としてスタートした大江さんは「突然の作家生活のために強度の睡眠薬中毒にかかる」時期があったという。
大江さんもこんなだったんだから(そしてそこから恢復したのだから)、
頑張れ!朋ちゃん