Happy Songs For Happy People

Happy Songs For Happy People

ヒロシマナガサキ」の音楽、モグワイというスコットランドグラスゴー出身のバンドだった。全然知らなかったのだが、有名なバンドらしい。今日CDを買ってみよう。

ティーブン・オカザキの「ヒロシマナガサキ」を観に行く。既に見た映像や証言が多かったが、やはり衝撃的な映像だった。印象に残ったのは、「キノコ雲とよく言うけど、あれは雲ではない。火柱です」という言葉。原爆ってなんとすごい威力なんだろう、と思うと同時に、生存者の証言を聞くと、なんとまあ、人間の回復力もすごいのだろう、ということを思わずにはいられない。もちろん、後遺症とずっと戦い続けてはいるのですが。
あと、400万発の原子爆弾が今ある、というテロップで、一個ぐらい私が生きてる間に降ってきてもおかしくない、というような諦めみたいな気持ちになった。
全体的には、正統派のテレビドキュメンタリーという感じ。
音楽が良かった。「ナインソウルズ」の音楽と似ていた。調べてみよう。
小谷野敦著『日本の有名一族』を購入。完全に下世話な興味で買ったのだが、思いがけず、うちの職場にいらっしゃる方のお父様のことが載っていて、その方に早速教えてあげたところ、たいそう喜ばれた。

大江健三郎 作家自身を語る』を読む。
読みながら、学生時代に一所懸命大江さんの本を読んだ頃のことを思い出した。そしてなぜあんなに魅了されたのかもじわじわと思い出した。大江さんの語り口は、なんだか人を励ます力があるのだ。大江さんの言葉で言うと「謹直なユーモア」に。
巻末に「大江健三郎、106の質問に立ち向かう」というのがあり、質問がなかなか面白い。
「小説家と学歴は関係ありますか。」
安部公房さんと一時絶交されたというのは本当ですか。」
「デモ行進をたびたびお書きですが、実効性はどのくらいあるとお考えですか。」
「作家の自殺はアリでしょうか。または許されないものでしょうか。」
芥川賞候補になった村上春樹さんの『風の歌を聴け』を評価されなかったのはなぜでしょう。」等々。
答えももちろん、面白い。
「決まって受け持たれている家事は何か。」という問いに、
「(略)深夜、トイレに立つ光をベッドを直して待ちうけ、毛布でくるむこと(四十年、家にいれば毎夜やっています)。」という答えがとても印象的だった。
「毛布でくるむこと」という言葉の温かさ。

大江健三郎 作家自身を語る

大江健三郎 作家自身を語る

そうそう。若くして小説家としてスタートした大江さんは「突然の作家生活のために強度の睡眠薬中毒にかかる」時期があったという。
大江さんもこんなだったんだから(そしてそこから恢復したのだから)、
頑張れ!朋ちゃん

以前、拉致被害者家族のジェンキンズさんが、初めて日本にやってきた時、涙につまりながら、“Today is the first day of the last chapter of my life.”と言っていたのに、強い印象を受けた。
まあ、普通の人では体験し得ないような波乱万丈すぎる人生を送ってきた人だからなのかもしれないが、私もああいうふうに、自分の人生を捉えることができるかな?と思った。まるで物語みたいに。
最近、いろんなことが「終わり」に近づいているような気がする。何かあっても、ああ、どうせすぐ終わるし、みたいな気分になる。一時的なものかもしれないが、年を重ねるごとに、終わりに近づいていっているのは確かで、来るべき日に向けて、なるべく悪あがきしないよう、心を乱されないように、と無意識に自分を自制しているからなのか。
でもこういうことって、本当はなるべく気づかずに走り抜ける方がいいんだろうな。以前、土井たか子さんが、30代後半からずっと全速力で走り続けてきたから、更年期障害なんてものにかかった記憶がない、という話をしていて、そんなものか、と思った。ヒマだといろいろ考えてよくないのだろう。目の前のあんなことやこんなことに煩わされて、んーまったくもう!嫁が…とか孫が…とか思いながらコロッと逝くのがいいのかもしれない、という気もする。
第1回大江健三郎賞長嶋有が選ばれた、というのがなんとなく意外で、ちょっとうれしい。大江健三郎賞の選者が大江健三郎本人ただ1人、というのもいいなぁ。しかも賞金なし。みうらじゅん賞を真似たのかな。大江健三郎も自分の人生を物語みたいに考えて、「しめくくりの仕事」みたいなことを考えている人だ。これもその一環なのかな。死ぬ時は「Rejoice!」って言う予定は変わっていないのかな。
まとめると「老い支度」みたいなものをそろそろ考えていった方がいいのか、どうかということか。

昨日ふと、そう言えば「川内康範」ってまだご存命だっけ?と気になり、調べてみたところ、「アルツハイマーの治療中」と書いてあった。まあ、確かにお年だし…と思いつつ今朝になって、いつものように芸能ニュースを見てビックリ!「森進一VS川内康範『おふくろさん』をめぐり泥仕合」と。記者会見まで開いて、あの唄をもう唄わせない!と息巻いている。声は少し弱々しいが、でも全然元気じゃないか。
川内康範氏のことは、10年ぐらい前の「クイックジャパン」で竹熊健太郎氏のインタビュー記事を読んで知った。それまで、全然知らなかった。特に印象深かったのが、飛行機事故の遺体が安置されているホテルに出向き、腐乱死体にすがって泣いている人々を見て、「骨まで愛して」という詩を作った、という話。「愛は情死である」というテーマもかっこいい。レインボーマンの話やグリコ森永事件の話も興味深かったけど、なんというか、清濁併せ持つ、独特の魅力のあるおじいさんだな、と思った。そして、ひしひしと、この人は実際に体験したこと、自分に根付いたことから湧き上がってくる真実の核だけを語る人だな〜と思った。こういうおじいさん好きです。
あと、この「クイックジャパン」の記事は、まず竹熊氏の川内康範氏宛ての手紙から始まるのだが、これがまたいい。こんな手紙受け取ったからにはインタビュー受けずにはおられまい。
この泥仕合もなんですが、川内先生どうぞこれからもますますお元気で!

TATTOOあり」を観る。
この映画のモデルになった梅川事件については、うすぼんやりとしか覚えてないが、映画は、「梅川事件」そのものについては描かれていなかったのが意外だった。高橋伴明監督は、きっとそれはどうでもよい、と思ったんだろう。観終わった後私もそうだと思った。
冒頭は、タイトルが示唆するシーン。そしてその後は、事件を起こすまでの過程が丹念に描かれている。しかし「TATTOOあり」って良いタイトルだな。
もうひとつ印象深かったのが、宇崎竜童の恋人役の高橋恵子のだめンズウォーカーぶり。ちったぁ勉強せぇよ!と言いたくなるぐらい、ダメ男ばかり渡り歩く。せっかく宇崎と別れたのに、なんでまたあんなチンケなチンピラと付き合うかねぇ。「あの男はホンモノよ」って。TATTOO「刺青」あり [DVD]
DVについての考え方もまだあの頃と今では違うんだな。宇崎にボカスカ殴られて実家に戻るのに、親は宇崎が連れ戻しに来ると、「ほら、この人もこんなに優しゅう言ってくれてるんや。悪いやないか」とホイホイ手放してしまうのだ。チキンラーメンかじるシーンは壮絶。
エンドロール観ていたら、周防正行とか井筒和幸とか錚々たるメンバーがスタッフに加わっていた。

映画館に「犬神家の一族」も観に行ってきた。
私も猿蔵みたいな人がほしい。

東京都現代美術館に「大竹伸朗 全景」展を観に行ってきた。ものすごい量の作品群にただ圧倒された。人間は、というか、私は、日々大量のゴミを作りながら生きているが、大竹氏は「作品」と「ゴミ」のスレスレのところで、なにものかを作り、それを保存し続け、私もなにものかを作って、捨てている、という感じがした。親子で見て回っている人々を結構見かけたが、子どもには刺激が強くないだろうか。夢に出てきそうなものばかりだった。スナック(?)「ニューシャネル」のドアとか。スクラップブックのヘンな絵とか写真とか。
とある作品の前で、爆笑しそうになった。一人だったのでこらえた。前衛芸術のギャグって、ねらいはわかるがつまんねぇよ!というものが多いが、あれにはやられた。反則だ。そして大竹氏の女性の好みみたいなものも何となく感じられた。そんなもの感じてもしょうがないのだが。
船の底の部分の鉄板を使ったオブジェを見ながら、ふと「廃材利用」→「宇和島」→「病院」→「臓器移植」と連想が進んでいった。宇和島はひょっとして、廃材利用に長けた者を引きつける何かがあるのか。美術館を出ると、日が暮れていて、屋上で光る「宇」「和」「島」「駅」のネオンが美しかった。ネオンと絵具箱
行ったらちょっとは元気出るかな?と思っていたら、やはり元気が出た。良かった。
帰りの電車の中で『ネオンと絵具箱』を読む。読んでいたら、じわじわ涙が出た。