美智子妃

橋をかける―子供時代の読書の思い出美容院にヘアカットしに行ったら、待合のところにヘアカタログなんかと一緒に美智子妃の『橋をかける』が置いてあった。「なんでここに?」と思ってたら、なんと、この美容室の人が美智子妃のヘアを担当しているのだとか。前々から、妙にセレブな感じのオバサマ客が多いな〜、場所柄かな、と思っていたが、究極のセレブがお客にいたのね。。。私なんかが行っても「○時に予約していた××です。」って言わないとダメだけど、常連風のオバサマが来ると、サササっと担当の人が来て「○○様、お待ち申し上げておりました!」とか言ってコート持ったりして、するとオバサマは「はい、これ、お土産〜」とか言って「空也最中」とか配ったりして「わぁ〜、いつも有難うございますぅ〜」とかいう光景が繰り広げられるのだ。…もう通い始めて1年ぐらいになるけど、多分永遠にあのオバサマ的な扱いはされなさそうな気がする。
ところでこの『橋をかける』は名著である。私はこの本の元になった講演をテレビで見たのだが、美智子妃って、言葉の使い方がすごく上手くて、そしてなによりも、「人間は迷い、悩み、苦しむものだ」という前提の上に立って話していることに、ものすごく共感した。ラストの方に出てくる
「そして、子供達が人生の複雑さに耐え、それぞれに与えられた人生を受け入れて生き」るために云々
という箇所にとても感動した。
ちょっと外れるが、「複雑」って良い言葉である。なんか、もう、わけわかんない、ドロドロになった悩み事が仕事でも家庭でも起って、その渦中で、うわぁ〜もうなんでこんな苦しいんだろうと思っていた(というかそのしんどさに、自分が今どう感じているかもわからずただのたうち回っていた)時に、ふと「人生って『複雑』だな」と思った瞬間、そのドロドロなカオスが「複雑」という一かたまりになって棚上げしたり、横に置いといたり、片手でボンボンと放り上げたりできるようになったのだ。もちろん、その悩み自体は何にも変らないけど。でも随分楽になったのだ。