帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて (ちくま新書 (546))小谷野敦帰ってきたもてない男』を読んだ。常々、うっすらぼんやりと考えていたようなことが、はっきりと率直に(身も蓋もなく)書いてあって、すごく面白かった。「小泉純一郎にセックスの相手はいるのだろうか」とか「(二十代と三十代の処女童貞は違う)物事には程度というものがある」とか。で、結局この人は何が言いたかったのかな、と思い、もう一度まえがきを読んでみたら「ただし、たとえこれ以後私がどれほどもてるようになろうとも、若いころもてなかった、三十まで童貞だったという怨念だけは忘れない。もてない男のために社会を改革しろなどと、私は言ったことがないし言うつもりもない。だが、そういう男女がいるということを、人びとに忘れさせないようにしたい、とは思っている。」という箇所があったので、多分これが全編を通して言いたかったことなのかもしれない。あと、上野千鶴子とか小倉千加子とか、酒井順子とかは呼び捨てなのに、岸本葉子だけ「さん」付けなのが面白かった。
あとがきに小谷野氏の「七ヶ条の求婚の条件」というのがあったが、七つの条件のうち私は「五、ちゃんと仕事を持っていてそれを続ける意志のあること」と「六、首都圏在住可であること」の2つしかあてはまらなかった。「五」の条件も、最近結構あやしいので、ほぼ失格だ。