irori-ko2006-07-03

週末に「さよなら、ナム・ジュン・パイク展」をワタリウム美術館に観に行った。ナム・ジュン・パイクの存在を初めて知ったのは、もう20数年前になるだろうか。あの頃、中学生だった自分にとって、平面の「美術」から3Dの「アート」へと知覚の扉を開いてくれたのは、彼だった。すでに今の私は、「アート」の表層だけを覗いただけで興味を失い、まったくそれとは無縁の生活を送っているが、今回「さよなら」の文字を見て、彼が亡くなったことを知り、久しぶりに行ってみよう、と思ったのだった。
20数年前の時点で既に、60、70年代の作品が多少「懐かしい」ものとして展示されていたが、今回は、そこに80年代の「グッドモーニング・ミスターオーウェル」等々のビデオ作品も展示されていた。Thompson Twinsの〝Hold me now〟のビデオクリップが流れており、ヘッドフォンをかけるとツンツンヘアのおあにいさんが♪Hold me now wowwow 〜と歌っていた。あの頃のことをこんな風に「懐かしく」見ようとは。
テレビモニターの中でろうそくが燃えている「キャンドルTV」。魚が泳ぐ水槽の後ろに、ダンサーが踊る様子が流れいているモニターが置かれている「フィッシュTV」。単純に美しく、面白いと思った。人工的な木々の間にモニターが木の実のように置かれている森も。
ワタリウム自体もびっくりするほど変ってなかった。絵葉書コーナーとかステーショナリーの品揃えとか。ついでにそのままテクテク歩いたら、「文化屋雑貨店」まであって、ビックリした。まだあったんだ。流行り物好きの私は、日々飛び回るように面白そうなものをあちこち見て周り、まわりもめまぐるしく変っていっているような感じがしていたが、単に私の周りだけであって、私とは関係なく、私が飽きようが、ちゃんとしっかり残っているものもあったんだ、と妙な感慨を覚えた。